保守契約を結ばないとどうなる?保守契約を結ばないことで起こりえるリスクを解説!

リスク検討会議

設備はもちろん、システムなどの導入後はそれらを維持管理(保守)していく必要があり、それには当然費用が発生します。設備の購入やシステムの開発自体に大きな費用がかかるのに加えて、導入後に定期的に費用が発生するため、保守契約を結ぶことに難しい顔をされる方もいらっしゃいます。そのため「保守契約の予算は取れない、なるべく少なくしたい」や「何かあったらその都度修理や改修を依頼するから保守契約は大丈夫」というお客様も少なくありません。

しかしこの考え方には大きな落とし穴があり、保守契約を結ばずに設備やシステムを利用し続ける事は、重要なリスクを抱える事をご存じない事が多くあります。

本記事では、保守契約の基礎知識と契約を結ばない事で起こりえる様々なリスクについて解説し、設備導入やシステム開発に携わる方々のお役に立てればと思います。

保守契約とは?

保守管理メインイメージ

まず保守契約とはそもそも何でしょうか。

保守契約を簡潔に述べると、特定の製品、設備やサービスを提供する業者と、それらを利用する顧客との間で締結される契約です。この保守契約は製品などによりさらに細分化されていきますが、基本的には製品、設備やサービスの正常な動作を維持するために必要なメンテナンス、アップデート、サポートなどの提供に関することが含まれます。

例えば、ある企業が業務システムを利用しており、そのシステムを開発した業者と保守契約を締結している場合には、

・定期的なシステムの点検やメンテナンス

・システムの障害が発生した場合の迅速な対応

・ソフトウェアやセキュリティのアップデートやバージョンアップ

・技術サポートやトラブルシューティング

といったサービス内容が含まれます。

もちろんサービスは保守契約の内容に応じて異なりますが、製品やサービスの利用者が安心して製品やサービスを使用するためにこのような保守契約を行うことは、トラブルを未然に防ぎ、発生した場合は迅速に、そして効果的に対応できるため、ビジネス活動を安定的に、かつ安全に回すためにもとても重要なものとなります。

保守契約を結ばない事で起きるリスク

保守契約は、製品、設備、そしてシステムなどのサービスを導入した際の初期費用とは別に、それらを維持管理していくための保守費用が発生するため、保守契約の締結に難色を示される場合も考えられます。また。あまり多くはないですが、保守契約を締結せずにそれらを利用するケースもございます。このような保守契約を結ばない場合はどのようなリスクが発生する可能性があるのか、見ていきましょう。

導入した製品やサービスでトラブルが発生した場合、すぐに修理や対応ができない

これは非常によく起こる事で、多くの場合、製品、設備やサービスは、導入した企業がそれらを開発をしたわけではないため、それらが動かなくなったり、誤作動を起こすなど何らかのトラブルが発生した場合、原因の切り分け、修正、そして対応が自社でできませんので、購入元、または開発元に連絡する必要があります。

さらに保守契約を結んでいない場合は、サービス提供業者に連絡し、そのトラブルを見てもらう前に、お見積りなどのやり取りが必要になる場合があり、そのやりとりを行っている間は復旧ができないため、結果としてシステムなどのダウンタイムが長引き、ビジネスに致命的な影響を与える可能性があります。(システムの場合瑕疵担保責任の範囲などで対応はございますが、そのトラブルの原因をどちらが切り分ける必要があるのかが重要となって起案す。)

とにかくコストがかかる

保守契約を結ばない場合、設備や製品、そしてシステムの修理や対応、アップデートなど、すべての責任を自社で負わなければなりません。それらのメンテナンスを行わないと、劣化スピードが早く、製品寿命や設備の改修サイクルが想定していたモノより早くなり、結果的に再度買い替えなどで大きな初期費用を強いられる場合があります。

また、前述した通り、突発的なトラブルや故障などが起きた場合はサービス提供会社もすぐには対応できず、費用の算出、お見積り、そして発注などのプロセスを経ないと対応ができません。トラブルなどは大体急ぎで対応が必要になりますが、そうなるとサービス提供会社の人員が空いているのか、緊急対応という事で費用が通常よりも高くなり、トラブルを直すための費用が出せない事も起こり得ます。

セキュリティの問題が発生した場合、すぐに対処できない

主にシステムなど導入した場合に発生するリスクですが、セキュリティに関する問題が発生した場合、すぐに対処できなくなります。セキュリティなどは日々アップデートされており、定期的にセキュリティ強化などの見直しを行う必要があります。保守契約などを結ばない場合はこれらを自身で対応する必要があり、怠ると年々セキュリティが弱くなっていきます。これは、データ漏えいや不正アクセスなどのリスクが増大し、場合によっては保守金額以上の深刻な問題に発展する可能性があります。

製品の保証が受けられない

CPU

製品や設備などでよくあることですが、端的にいうと製品の保証を受けることができなくなります。製品や設備そのものに何らかの欠陥があった場合、修理や交換などのサポートを受けることができなくなる可能性があり、自身の責任でなくとも別途修理費用や部品などの費用が発生する可能性があります。

ソフトウェアのアップデートやメンテナンスができなくなる

主にシステムやソフトウェアに関連する事ですが、システムを構成する製品のアップデートの情報収集や、アップデート前の事前検証など、ほぼ開発社でないと難しい内容が行えないため、アップデートやメンテナンスをすることができなくなります。また、事前の検証なしでのアップデートを行った場合、システムに重大な問題が生じ、システムダウンなどで業務に支障をきたしてしまうことがあります。

絶対に壊れない、バグのない製品、設備やシステムはない

どのような製品やシステムであれ、全体に壊れない、バグが一切発生しないという事は断言できません。そういった前提の中で、保守契約を結ばずに設備やシステムを利用し続ける事は、復旧や修理に膨大な時間がかかり、想定外の費用が発生し、その結果ビジネスに深刻なリスクを常に抱えることとなります。

いつかはトラブルが発生するという前提の下で、費用対効果のバランスをとるのは非常に難しい事ですが、保守契約の締結を行うことで、円滑なビジネスを実現し、ひいては社会的な信用を得ていくことにつながるため、本記事で保守契約を結ばない事でのリスクをしっかりと把握して頂ければ幸いでございます。

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